介護施設のホームページをリニューアル・他社から乗り換えるときの手順とデータ移行

介護施設のホームページをリニューアル・他社から乗り換えるときの手順とデータ移行
この記事の目次
  1. リニューアル・乗り換えを考えるきっかけ
  2. 動く前に、今の契約を確認する
  3. ドメインは引き継げる
  4. 今のサイトの何を活かすか
  5. 公開の切替で失敗しないために
  6. 移行の全体の流れ
  7. まとめ

「今のホームページ、スマホで見ると崩れているんです」——先日、ある施設の管理者さんから、そう相談を受けました。作ったのは数年前。当時は立派だったのに、今は自分たちで更新もできない。月額だけが引き落とされていく。

こういう悩み、実はとても多いです。私は介護の現場に22年おりまして、今もケアマネ(介護支援専門員)として動きながら、介護事業者向けのHP制作を手がけています。その立場で言うと、リニューアルや他社への乗り換えは、思っているほど怖いものではありません。

ただ、順番を間違えると損をします。契約、ドメイン、データ、検索での評価——確認せずに動くと、これまで積み上げたものを失うこともある。逆に言えば、押さえるべき点さえ分かっていれば、多くは引き継げます。

この記事では、次の3点を軸に整理します。

  • 動く前に確認しておくこと(契約・名義)
  • 何を引き継ぎ、何を作り直すか
  • 公開の切替で失敗しないための段取り

不安を煽るつもりはありません。落ち着いて一つずつ進めれば大丈夫だと思います。

リニューアル・乗り換えを考えるきっかけ

多くの施設が、似たような理由でリニューアルを考え始めます。私が相談を受けるなかで、きっかけはだいたい3つに分かれます。

  • スマホで見ると表示が崩れる、または遅い
  • 自分たちで文章や写真を更新できない
  • 月額費用が高く、何にお金を払っているか分からない

一つ目は、スマホ対応です。今、施設を探すご家族もケアマネも、多くはスマホで見ます。パソコン向けに作られた古いサイトは、文字が小さく、指で拡大しないと読めない。それだけで「ちゃんとしていない施設」に見えてしまう。もったいないことです。

二つ目は、更新のしやすさ。空室状況やイベントの写真を、その日のうちに自分で載せられるか。業者に電話しないと直せない仕組みだと、だんだん更新が止まります。止まったサイトは、情報が古いまま放置されてしまう。

三つ目は、費用です。毎月払い続けているのに、更新もしてもらえない——そういうケースは珍しくありません。金額そのものより、中身が見えないことに不満がたまります。制作費や月額の内訳については、HP制作費の相場と内訳の記事にまとめました。

きっかけがどれであっても、大事なのは「今のサイトへの不満」を言葉にしておくこと。次に作るサイトで何を直したいのかが、はっきりします。

動く前に、今の契約を確認する

いざ乗り換えようと思ったら、まず今の契約書を引き出しから出してください。ここを飛ばして新しい業者と話を進めると、あとで困ります。確認するのは、次の点です。

  • 契約期間と、途中解約したときの違約金
  • 自動更新の有無と、解約の申し出はいつまでか
  • ドメインの名義(誰のものになっているか)
  • 写真や文章などのデータを引き取れるか

特に多いのが、解約のタイミングでのつまずきです。「最低契約期間が決まっていて、途中で辞めると残りの月額をまとめて請求された」という話を、実際に聞いたことがあります。契約書の解約に関する条項は、必ず先に読んでください。この点はHPの解約・違約金トラブルの記事で詳しく書きました。

もう一つ大事なのが、名義です。ドメインやサーバーが業者の名義のままだと、辞めるときにサイトごと消えてしまうことがある。私は、ドメインもデータも施設名義で持っておくべきだと考えています。囲い込まれない形が、結局いちばん安心だからです。

焦らなくて大丈夫。まず現状を正しく把握する。それが最初の一歩です。

ドメインは引き継げる

「業者を変えたら、ホームページのアドレスも変わってしまうのでは」——よく聞かれます。結論から言うと、ドメイン(〜.comや〜.jpといったサイトの住所)は、原則そのまま引き継げます。

ドメインの引っ越しを、移管(いかん)と呼びます。今のドメインを、新しい管理先へ移すだけ。アドレスは変わりません。名刺やパンフレットに刷った住所も、そのまま使えます。

移管の大まかな流れは、こうです。

  1. 今の業者にドメインの認証コード(移管に使う鍵のような番号)をもらう
  2. ロック(移管を止める設定)を外してもらう
  3. 新しい管理先へ移管を申請する
  4. 数日〜1週間ほどで完了する

ここで一つ注意。ドメインが業者の名義になっていると、この認証コードを渡してもらえないことがあります。だからこそ、前の章の「名義の確認」が効いてくるわけです。

ドメインを引き継げれば、これまで積み上げた検索での評価も、大きくは崩れません。ゼロからのやり直しにはならない、ということです。

今のサイトの何を活かすか

リニューアルというと、全部を作り直すイメージがあるかもしれません。でも実際には、活かせるものが多いです。捨てる前に、一度立ち止まってください。引き継げるものを整理すると、こうなります。

  • 施設の紹介文やサービス内容の文章
  • 外観・室内・スタッフの写真
  • これまでの実績やお客様の声
  • ページのURL(アドレス)

文章は、施設のことをいちばんよく表しています。長年かけて書いてきた紹介文を、新しいデザインに載せ替えるだけで済むことも多い。ゼロから書き直す必要はありません。

写真も資産です。特に、実際の職員さんや利用者さんの様子が写った写真は、あとから撮り直すのが大変。元データ(撮影したそのままのファイル)が手元にあるか、確認しておきましょう。

一方で、作り直したほうがいいものもあります。古くて崩れたデザイン、スマホで読めないレイアウト、料金が分かりにくい構成。ここは思い切って直す。私は、料金の見せ方ひとつで問い合わせが変わると感じています。活かすものと直すもの、この線引きが、リニューアルの満足度を決めます。業者に頼むか自分で作るかで迷う方は、HPは業者に頼むか自分で作るかの記事も参考になると思います。

公開の切替で失敗しないために

新しいサイトができて、いよいよ公開。ここが、いちばん失敗しやすいところです。丁寧にやれば問題ありませんが、雑にやると検索での評価を落とします。気をつける点は、3つです。

一つ目は、リダイレクトです。リダイレクト(古いページを開いた人を、新しいページへ自動で案内する仕組み)を設定しておく。URLが変わるページがある場合、これをしないと「ページが見つかりません」の表示になります。せっかく来てくれた人を、逃してしまう。

二つ目は、検索評価の引き継ぎです。ドメインをそのまま使い、リダイレクトを整えておけば、Googleの評価は大きくは下がりません。むしろ、スマホ対応や表示速度が改善すれば、評価が上がることもあります。ただ、必ず上がるとは言えません。そこは正直にお伝えしておきます。

三つ目は、タイミングです。新しいサイトが完全にできてから切り替える。中途半端な状態で公開しない。私は、切替は問い合わせの少ない時期に、余裕をもって行うようにしています。

公開して数日は、スマホとパソコンの両方で、主要なページを自分の目で確認してください。リンク切れや表示崩れは、この段階でだいたい見つかります。

移行の全体の流れ

ここまでの話を、時間の流れで並べ直します。全体像が見えると、動きやすくなります。

  1. 今の契約書を確認する(期間・違約金・名義)
  2. リニューアルの目的をはっきりさせる(何を直したいか)
  3. 新しい業者を決め、活かすもの・作り直すものを整理する
  4. ドメインの移管を申請する
  5. 新しいサイトを制作する
  6. リダイレクトを設定し、公開を切り替える
  7. 公開後、スマホとパソコンで表示を確認する

この順番なら、大きな失敗はしにくいです。特に1番、契約の確認を最初に置くのが肝心。ここを飛ばすと、あとの手順が全部ぐらつきます。

期間の目安は、規模にもよりますが、相談から公開まで1〜3か月ほど。急ぐ必要はありません。今のサイトを動かしたまま、裏で新しいサイトを準備できます。だから、サイトが見られない空白の期間はつくらずに移行できます。

一人で抱え込まないこと。分からない用語は、遠慮なく業者に聞いてください。ちゃんとした相手なら、かみ砕いて説明してくれるはずです。

まとめ

ホームページのリニューアル・乗り換えについて、要点を振り返ります。

  • きっかけは、スマホ非対応・自分で更新できない・月額が高い、の3つが多い
  • 動く前に、契約書で期間・違約金・名義を確認する
  • ドメインは移管で引き継げ、アドレスは変わらない
  • 文章・写真・実績・URLは活かせる。全部を作り直す必要はない
  • リダイレクトとタイミングを丁寧にすれば、検索評価は守れる

リニューアルは、これまでを捨てることではありません。積み上げたものを引き継ぎ、見えにくかった部分を直す作業です。ドメインもデータも施設名義で持っておけば、次に何かあっても、また自分たちの意思で動けます。

私は、WEBはあくまで現場の補助だと考えています。作り直せば必ず問い合わせが増える、とは言えません。それでも、スマホで読みやすく、情報が新しいサイトは、探している人にきちんと届きます。焦らず、一つずつ。まずは今の契約書を、引き出しから出すところからで大丈夫だと思います。

この記事を書いた人
中山 孔太(ナックル)
合同会社QOL 代表 / 介護福祉士・ケアマネジャー / 介護現場22年
介護現場22年の経験を活かし、介護事業者向けのHP制作とLINE構築を行っています。「介護事業のWEB集客・採用の専門家」として、現場のリアルを踏まえたWEB戦略をお届けします。
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中山 孔太(ナックル)