介護施設の見学予約、電話一本の導線をLINE・フォームで自動化する

介護施設の見学予約、電話一本の導線をLINE・フォームで自動化する
この記事の目次
  1. 「見学予約は電話だけ」で取りこぼしている人がいる
  2. 電話・フォーム・LINE、それぞれの役割
  3. フォームで24時間受ける(項目は絞る、スマホ入力に配慮)
  4. LINEで予約と質問を受ける(リッチメニュー・自動応答をかみ砕く)
  5. 予約が入ったあとの動線(自動返信→日程調整→前日リマインド)
  6. 電話も残す(無理にゼロにしない)
  7. まとめ

「見学の問い合わせ、平日の昼間しか受けられていないんです」——先日、ある施設の相談員さんから聞いた言葉です。夜にかかってきた電話は、留守番電話のまま。折り返した頃には、ご家族はもう別の施設を見に行っている。

介護現場に22年いて、私自身も感じてきたことです。見学予約の入口を「電話一本」に絞っていると、その電話をかけられない人を、知らないうちに取りこぼしている。悪気はありません。ただ、導線がそうなっているだけなのだと思います。

この記事では、入口を電話だけにしない方法を、電話・フォーム・LINEという3つの道具の役割分担として整理します。今ある電話を残したまま、受け皿を少し増やすだけの話です。整理するのは次の3点。

  • なぜ電話だけだと取りこぼすのか
  • フォームとLINE、それぞれ何を任せるか
  • 予約が入ったあと、当日までどうつなぐか

「見学予約は電話だけ」で取りこぼしている人がいる

電話だけの受付は、電話をかけられる人しか拾えません。取りこぼしているのは「関心のない人」ではなく、「関心はあるのに、手段が合わなかった人」だと思います。

理由はシンプルです。見学を検討するご家族の多くは、働いています。電話をかけられるのは夜か、昼休みの数分。ところが、その時間に施設の電話はつながりにくい。時間帯が、すれ違っているのです。

それに、電話そのものが苦手な人も増えました。いきなり話すのは緊張する。断るのが気まずい。——電話の前で手が止まる人は、決して少なくないと感じます。

動きが早いご家族ほど、複数の施設を並行して当たっています。夜10時に問い合わせようとして電話番号しか出てこなければ、その施設は翌朝まで保留。そして翌朝には、別の施設の見学が先に決まっている。入居が決まらないとき、入口のこの一段で止まっていることがあります。見直すべき場所は入居者が決まらないとき見直す3つの場所でも触れました。

対処は難しくありません。電話をなくすのではなく、電話に「かけられない人」のための入口を、別に用意しておく。それだけです。

電話・フォーム・LINE、それぞれの役割

3つを全部やる必要はありません。それぞれ得意が違うので、役割で分けて考えると、自分の施設に何が足りていないかが見えてきます。

  • 電話——急ぎの相談や、細かいニュアンスの確認に強い。声で安心してもらえる。ただし営業時間内しか受けられない。
  • フォーム——24時間、誰でも使える一番広い入口。会員登録も不要。夜間の「今のうちに送っておこう」を拾える。
  • LINE——一度つながれば、やりとりが続く。質問と回答を往復でき、予約後の連絡もそのまま届けられる。

フォームは「間口を広げる」道具、LINEは「つながったあと関係を続ける」道具、電話は「最後にひと押し、安心してもらう」道具。役割が違うので、どれかが代わりになるわけではありません。

まずおすすめしたいのは、フォームです。ホームページに問い合わせフォームと空室状況を置くだけで、入口はかなり広がります。空室情報の見せ方は空室情報をHPに載せるべきかに書きました。フォームで土台を作り、余力が出たらLINEを足す。この順番が無理がないと思います。

フォームで24時間受ける(項目は絞る、スマホ入力に配慮)

フォームの役目は、たった一つ。「今すぐ電話できない人が、関心を残していける場所」を作ることです。だから、作り込みすぎないことが何より大切だと思います。

やりがちな失敗は、項目を増やしすぎることです。要介護度、既往歴、希望入居時期、続柄……。運営側は全部知りたい。でも入力する側は、項目が多いほど手が止まります。スマホで一つずつ埋めるのは、想像以上に面倒なのです。

見学予約のフォームなら、これくらいで十分だと考えています。

  • お名前(まずは呼び名でも可)
  • 連絡先(電話かメール、どちらか一つ)
  • 見学の希望日時(第2希望まで、あるいは「相談したい」でも可)
  • ひとことメッセージ(任意・空欄OK)

要介護度や病状は、見学が決まってから聞けばいい情報です。入口の段階では、深く聞かない。「必要な情報を、必要なだけ」——これは私がホームページ作りでいつも大事にしている考え方でもあります。

もう一つ、スマホでの見やすさは必ず確認してください。問い合わせの多くはスマホから来ます。パソコンで満足していても、スマホでは文字が小さかったり、入力欄がはみ出していたりする。自分のスマホで一度、最後まで送信してみる。それだけで防げる取りこぼしがあります。

LINEで予約と質問を受ける(リッチメニュー・自動応答をかみ砕く)

フォームで土台ができたら、次はLINEです。強みは、一度友だちになってもらえれば、やりとりが往復で続くこと。「ちょっと聞きたい」のハードルが、電話よりずっと低いのです。ここで、専門用語を二つだけかみ砕いておきます。

  • リッチメニュー(トーク画面の下に固定で出る、ボタン付きのメニュー)——「見学を予約する」「空室状況」「よくある質問」といったボタンを並べておける場所です。
  • 自動応答(あらかじめ決めた言葉に、自動で返信する機能)——「料金」と送られたら料金案内を返す、という具合に、担当者がいない時間でも一次対応ができます。

この二つを組み合わせると、夜でも休日でも、最初の受け答えは自動で回ります。「見学を予約する」を押せば日程候補につながり、「よくある質問」を押せば費用や持ち物、面会のルールが読める。担当者がいない時間でも、知りたいことにたどり着けます。

ただ、正直に言えば、LINEは万能ではありません。友だち登録という一手間がある分、フォームより間口は狭い。集客や採用に本当に使えるのかは、LINE公式は集客・採用に使えるのかにまとめました。過度な期待はせず、フォームの補助として育てる。それくらいの距離感が、ちょうどいいと思います。

予約が入ったあとの動線(自動返信→日程調整→前日リマインド)

入口を広げる話ばかりしてきましたが、差がつくのは予約が入ったあとです。ここが雑だと、せっかくの予約が当日にすっぽ抜けます。流れを3つに分けると、抜け漏れが減ります。

  1. 自動返信——予約が届いたら、すぐ「受け付けました」と自動で返す。ここが無反応だと、「本当に届いたのか」と不安にさせてしまいます。
  2. 日程調整——第1希望が埋まっていれば、候補をこちらから示す。この一往復だけは、できれば人の言葉で。ここに施設の雰囲気が出ます。
  3. 前日リマインド——見学の前日に「明日お待ちしています」と一言。日時と持ち物、道順を添えておく。

特に効くのは、前日リマインドだと思います。予約から見学まで数日空くと、人は忘れます。私も現場で、前日の一本連絡で当日の来場が変わる場面を、何度も見てきました。ドタキャンを相手のせいにする前に、こちらにできることはあると思います。

ここで、LINEの強みが効いてきます。自動返信もリマインドも、同じトーク画面の中で送れる。予約したその場所に、確認もお知らせも届く。連絡先を行き来しなくて済むのは、思いのほか安心につながります。もちろん、全部を自動化する必要はありません。日程調整の一言だけは人が書く。それで十分です。

電話も残す(無理にゼロにしない)

ここまで自動化の話をしてきましたが、最後に一つ。電話は、なくさないでください。

介護施設を探すご家族には、高齢の方も多くいます。スマホの操作に不慣れな方、フォームやLINEを使わない方は、確実にいます。その人たちにとって、電話は今も一番安心できる入口です。効率化のために電話を引っ込めれば、今度は別の層を取りこぼす。それでは本末転倒です。

目指すのは「電話をなくす」ことではなく、「電話しか受け皿がない」状態を変えることです。むしろ、フォームやLINEを整えると、電話の中身が良くなります。細かい問い合わせが自動応答で片づく分、電話口では声で話したいことに集中できる。

介護支援専門員(ケアマネジャー)として動いていた頃も、連絡手段は相手に選ばせるのがいいと感じていました。電話がいい人には電話で、文字がいい人にはフォームやLINEで。入口を一つに決めないことが、いちばん多くの人を拾えるのだと思います。

まとめ

見学予約を電話だけにしないための考え方を、整理してきました。要点を振り返ります。

  • 電話だけの受付は、夜間・営業時間外・電話が苦手なご家族を静かに取りこぼしている。
  • 電話・フォーム・LINEは役割が違う。まずフォームで間口を広げ、余力が出たらLINEを足す。
  • フォームは項目を絞り、スマホで最後まで送れるかを自分で確かめる。
  • LINEはリッチメニューと自動応答で一次対応。ただし過度な期待はしない。
  • 差がつくのは予約後。自動返信・日程調整・前日リマインドで当日までつなぐ。
  • 電話はなくさない。「電話しか受け皿がない」状態だけを変える。

自動化の中心にあるのは「電話をかけられない人のために、もう一つ入口を開けておく」という、ごく素朴なことです。これで見学が必ず増えるとは言えません。ただ、今まで音もなく去っていた人の何割かが、残ってくれる。それは十分に狙えると思います。

現場が根本で、WEBはあくまで補助です。それでも、入口が一つ増えるだけで、届くはずだった人に届く。まずはフォームを一つ、置いてみるところから始めればいいのだと思います。

この記事を書いた人
中山 孔太(ナックル)
合同会社QOL 代表 / 介護福祉士・ケアマネジャー / 介護現場22年
介護現場22年の経験を活かし、介護事業者向けのHP制作とLINE構築を行っています。「介護事業のWEB集客・採用の専門家」として、現場のリアルを踏まえたWEB戦略をお届けします。
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中山 孔太(ナックル)