「地域名+介護施設」で最初に見られる場所——GoogleビジネスプロフィールとMEOの整え方

この記事の目次
「うちの施設、ネットで探しても見つけてもらえないんです」——先日、ある施設長からそんな相談を受けました。ホームページ(以下HP)はある。パンフレットも整っている。それなのに、問い合わせが増えない。
理由を一緒にたどると、入口でつまずいていました。ご家族もケアマネジャー(ケアマネ=要介護の方の相談窓口になる専門職)も、まず「地域名+介護施設」でGoogle検索します。そのとき最初に目に入るのが、Googleマップと、そこに並ぶ施設情報です。ここが空欄だと、そもそも土俵に上がれていない。
私は介護の現場に22年いて、今もケアマネとして相談を受けています。その立場から見ても、施設の探され方はこの10年で大きく変わりました。
この記事では、Googleマップ上での見え方を整えるために、次の3点を整理します。
- Googleビジネスプロフィール(Googleマップに載る施設情報の管理画面)で最低限埋めること
- 写真と更新で「今も動いている施設だ」と伝えること
- マップ・HP・LINEの役割を分けて考えること
不安を煽るつもりはありません。ただ、無料で今日から直せる部分が、案外そのまま放置されているのです。
なぜいま「Googleマップ」で見られているのか
結論から言えば、探す人は検索エンジンよりも先に、地図を見ています。
ご家族が施設を探す場面を想像してみます。多くの場合、きっかけは切迫しています。退院を控えている。在宅が限界に近い。そんなとき、人はスマートフォンを開いて「〇〇市 介護施設」や「〇〇(地域名) 特養」と打ち込みます。
すると画面の上のほうに、地図と3件ほどの施設が先に出てきます。これがいわゆる「ローカル検索」の枠です。多くの人は、この地図の枠をまず見ます。写真、星の数、距離。そこで数件に絞ってから、ようやく個別のHPをのぞく——この順番が、今はごく普通になりました。
ケアマネの動きも似ています。担当する利用者さんに合いそうな施設を、地域名で素早く調べる。私自身も、初めて紹介する先はまず地図で場所と雰囲気を確かめます。
だからこそ、入居の問い合わせが伸び悩むとき、最初に疑うのはHPの中身よりも「地図での見え方」だったりします。この視点は入居者が決まらないとき見直す3つの場所でも触れましたが、入口が整っていないと、その先の努力が届きません。中身の勝負は、見つけてもらえてからです。
Googleビジネスプロフィールとは何か
難しく考えなくて大丈夫です。ひとことで言えば、無料で登録できる、Googleマップ上の「施設の名刺」です。
まず、用語をかみ砕いておきます。
- Googleビジネスプロフィール:Googleマップや検索結果に表示される、店舗・施設の公式情報。無料で作れます。
- MEO(Googleマップ上で見つけてもらいやすくする工夫):この情報を整え、地域の検索で上位に出やすくする取り組み。
- 口コミ:利用者やご家族が、星と文章で残す評価。
「MEO対策」と聞くと、専門業者にお金を払う難しいもの、と感じるかもしれません。でも土台は違います。まずは無料のGoogleビジネスプロフィールを、自分たちの手で正しく埋める。それだけで、見え方はずいぶん変わると思います。
私は、業者への依存を減らし、施設が自分の名義で情報を持つことを大切にしています。この管理画面も、施設のGoogleアカウントで登録し、施設が管理者になっておく。ここを外部任せにしすぎると、あとで引き継ぎに苦労します。
最低限これだけは埋める
完璧を目指す前に、まず空欄をなくすこと。ここが先です。
Googleビジネスプロフィールには多くの項目があります。全部を一度に、とは言いません。ただ、次の8つは最初に埋めてほしいところです。
- 名称:正式名称で。看板やパンフレットと表記をそろえる。
- 種別・カテゴリ:「特別養護老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」など、実態に合うものを選ぶ。
- 住所:地図のピンが、建物の位置と合っているか確認する。
- 電話番号:問い合わせが実際につながる番号を。
- 営業時間・受付時間:見学や電話がつながる時間を正直に。
- 写真:外観・内観・共有スペースなど(次の章で詳しく)。
- 説明文:どんな方が、どんな暮らしを送れる施設かを簡潔に。
- カテゴリと連動する情報:HPがあればリンクを。設備や特徴も分かる範囲で。
特に見落とされがちなのが、カテゴリと説明文です。カテゴリがずれていると、「特養を探している人」の検索に出てこない。説明文が空欄だと、施設の人柄が伝わらない。ここは、埋めるだけで差がつく部分です。
以前、電話番号が数年前の古い番号のまま、という施設に出会ったことがあります。かけても現場につながらない。せっかく興味を持ってもらえたのに、そこで縁が切れていたわけです。地味な話ですが、正確さは何より効きます。
写真と「最新の状態」が効く
写真は、第一印象そのものです。そして更新は、「今も動いている」という安心につながります。
文字より先に、人は写真を見ます。施設選びは不安との戦いですから、「ここで過ごす姿」が想像できるかどうかは大きい。暗く古い一枚と、明るい食堂やスタッフの表情とでは、受け取る印象がまるで違います。
とはいえ、盛りすぎは禁物です。実際と違う写真は、見学のときに落差を生みます。等身大の姿で十分だと思います。
もう一つ、意外と見られているのが「最終更新がいつか」です。Googleビジネスプロフィールには、お知らせを投稿できる機能があります。行事の様子、季節の風景、空室の状況——月に一度でも投稿があると、「ちゃんと運営されている施設」という印象が残ります。逆に何年も止まっていると、営業しているのかどうか、不安になる。
完璧な更新でなくていい。細くても続いている——その気配が、見る人の安心につながるのだと思います。
口コミへの向き合い方
口コミは気になるものですが、振り回されすぎないこと。私はそう考えています。
星の数や書き込みは、たしかに目に入ります。良い口コミは背中を押し、悪い口コミは目立つ。だからつい、点数に一喜一憂してしまいます。
ただ、口コミは「集めるもの」というより、「自然にたまっていくもの」だと思うのです。日々のケアに納得してくださったご家族が、ふと一言を残してくれる。その積み重ねが本物です。無理にお願いして数を作るより、目の前の満足を丁寧に届けるほうが、結局は強い。悪い口コミがついたときも、慌てないこと。誠実に、事実を踏まえて返信する。その姿勢自体を、他の人は見ています。
口コミの集め方や、良くない書き込みへの具体的な向き合い方は、話すと長くなります。ここでは深追いせず、Google口コミの集め方・悪い口コミへの対応にまとめました。気になる方は、そちらをのぞいてみてください。
マップ・HP・LINEの役割分担
「マップとHP、LINE、結局どれをやればいいの」——よく受ける質問です。私の答えは、全部です。ただし、役割を分けて。ひとつに全部を背負わせないほうが、うまく回ります。
マップは「入口」
Googleマップは、見つけてもらう場所です。地域名で探す人と、最初に出会う。ここで悪い印象を持たれると、次に進んでもらえません。だから、凝った作り込みよりも、正確さと第一印象に集中する。
HPは「信頼を確かめる場」
マップで気になった人は、次にHPを見ます。料金の目安、一日の流れ、スタッフの顔、施設の理念。「本当に任せて大丈夫か」を確かめる場所です。HPなしでも入居者は来るのかでも書きましたが、来ないわけではありません。ただ、確かめる場所がないぶん、機会を取りこぼしやすいのは事実だと思います。
LINEは「つながり続ける手段」
見学したけれど、今すぐではない。そんな方と細く関係を保つのがLINE(LINE公式アカウント=施設から情報を送れる公式の窓口)です。空室のお知らせや行事の様子を、負担なく届けられる。すぐの入居でなくても、いざというときに思い出してもらえる関係を残せます。
入口で見つけ、HPで確かめ、LINEでつながる。この流れが、紹介会社に頼りきらない、自前のチャネル(集客の経路)になります。年に1〜2件、紹介に頼っていた分を自社に置き換えるだけでも、十分に意味があると私は思います。
まとめ
最後に、要点を整理します。
- ご家族もケアマネも「地域名+施設種別」で検索する。入口はGoogleマップ。
- まずは無料のGoogleビジネスプロフィールを、施設の名義で正しく埋める。
- 名称・種別・住所・電話・時間・写真・説明文・カテゴリの空欄をなくす。
- 写真で第一印象を、更新で「今も動いている安心」を伝える。
- 口コミは無理に作らず、誠実な対応を積み重ねる。
- マップは入口、HPは信頼の確認、LINEはつながりの維持。
WEBは、現場の代わりにはなりません。良いケアがあってこそ、情報が生きる。これを整えれば必ず入居が増える、とも言えません。それでも——見つけてもらえなければ、良い施設も選ばれようがない、というのが実感です。
まずは今日、ご自分の施設を地域名で検索してみてください。出てきた情報が、実際の施設とずれていないか。空欄のまま止まっていないか。そこを直すことから始めれば十分だと、私は思います。

