介護施設のGoogle口コミ、集め方と「悪い口コミ」への向き合い方

介護施設のGoogle口コミ、集め方と「悪い口コミ」への向き合い方
この記事の目次
  1. 家族は「星の数」と「件数」を見ている
  2. サクラ・自作自演はやめておく(正攻法で集める理由)
  3. 自然に集める設計(見学後・退居時のひと声、QR・LINEで導線)
  4. 悪い口コミが来たときの心構え(消せない前提・感情的に反論しない)
  5. 返信の型(事実確認→謝意→改善→オフラインへ)
  6. 集まった口コミをHP・採用に活かす
  7. まとめ

「先生、うちの施設、Google(グーグル)に悪い口コミが1件だけあって、どうしたらいいでしょう」——先日、ある施設長からそう相談されました。星は、たった1つ。書いたのは、たった1人。それでも、その1件がずっと気になる。気持ちは、痛いほどわかります。

先に結論をお伝えします。口コミは「消すこと」ではなく、「増やすこと」と「返すこと」で向き合うのが現実的です。悪い口コミは、基本的に消せません。だからこそ——正攻法でコツコツ良い声を集め、来てしまったものには誠実に返信する。この2つが土台になります。

私は介護の現場に22年いて、介護福祉士とケアマネ(介護支援専門員)として今も動きながら、施設のWEB活用のお手伝いをしています。その立場から、この記事では次の3点を整理します。

  • 悪い口コミを恐れず、良い口コミを自然に集める設計
  • 悪い口コミが来たときの心構えと、返信の型
  • 集まった声を、HPや採用に活かす方法

家族は「星の数」と「件数」を見ている

入居先を探すご家族が最初に見るのは、立派なパンフレットではありません。スマホの検索結果——そこに並ぶ、星の数と口コミの件数です。

理由はシンプルです。施設名で検索すると、Googleマップの情報が画面の上のほうに出てきます。地図、写真、そして星印。ご家族は無意識のうちに、近隣の他施設と見比べているのです。この「検索で見つけてもらう」仕組みそのものについては、GoogleビジネスプロフィールとMEO(マップ上で上位に表示させる対策)の記事でも詳しく触れています。

たとえば、星4.2が30件ある施設と、星5.0が1件だけの施設。数字だけを見れば、後者のほうが高い。でも、多くのご家族は前者を選びます。「1件だけの満点」は、かえって不自然に映るから。件数の積み重ねが、そのまま安心につながります。

だから、目指すのは満点ではありません。ある程度の件数と、正直な星の平均。これで十分だと思います。

サクラ・自作自演はやめておく(正攻法で集める理由)

手っ取り早く星を増やしたい。その気持ちはよくわかります。ですが、サクラ(お金を払って書いてもらう偽の口コミ)や、職員による自作自演は、やめておくべきです。

まず、Googleのポリシー違反にあたります。見つかれば口コミがまとめて削除されたり、ビジネスプロフィールに影響が出ることもあります。そして何より——ご家族に、見抜かれます。

不自然に星5ばかりが同じ時期に並ぶ。中身が、具体性のない絶賛ばかり。読む人は、思った以上に敏感です。介護は、信頼の商売。最初のつまずきが、後々まで響きます。

遠回りに見えても、実際に利用したご家族の言葉を、一つずつ。それが結局、一番強いのです。誠実さは、時間はかかっても裏切りません。

自然に集める設計(見学後・退居時のひと声、QR・LINEで導線)

良い口コミは、待っていても増えません。仕組みで、少しずつ集めます。きっかけと導線があれば、書いてもいいと思っている方は、書いてくれます。ハードルは、低く。

お願いしやすいタイミングは、だいたい決まっています。

  1. 見学のあと——「もしよかったら、感想を一言いただけますか」と一声
  2. 退居・卒業のとき——関係が良ければ、素直な感謝が言葉になりやすい
  3. 面会に来たご家族が、笑顔で帰られるとき

そして、書く場所への導線を用意しておきます。

  • QRコード(読み取ると投稿画面に直接飛ぶ四角い模様)を、名刺やお便りに印刷しておく
  • LINE公式アカウントのメッセージに、投稿リンクをそっと添える
  • 受付や送迎車の中に、「口コミのお願い」をさりげなく掲示する

大事なのは、押しつけないこと。「書いてください」ではなく「もしよかったら」。星をお願いするのではなく、感想を聞く。この一言の差が、返ってくる言葉の質を変えます。無理にお願いした星は、たいてい続きません。

悪い口コミが来たときの心構え(消せない前提・感情的に反論しない)

悪い口コミは、来ます。どんなに良い施設でも、いつか必ず。まず、これを前提にしてください。

Googleの口コミは、施設側で自由に消せません。明らかな規約違反(誹謗中傷や、個人が特定される情報)は削除を申請できますが、通るとは限らない。「気に入らないから消す」は、できない仕組みです。だから、消せない前提で構えるしかありません。

持っておきたい心構えは、3つです。

  • 消せない前提で考える
  • 感情的に反論しない——その1件より、それを読む100人のご家族を意識する
  • 事実と、感じ方を切り分ける。同じ対応でも、受け取り方は人それぞれ

私自身、現場で「冷たい」と言われたことがあります。こちらは手一杯で、精一杯だった。それでも、ご家族の目にはそう映った。正直、悔しさもありました。ただ——反論しても、何も変わらない。むしろ、そこから見直せることもある。そう思えるようになるまでに、私も時間はかかりましたが。

おすすめは、一晩置くこと。感情が落ち着いてから、返信を書く。たったこれだけで、言葉はずいぶん変わります。

返信の型(事実確認→謝意→改善→オフラインへ)

返信には、型があります。感情ではなく、型で返す。そのほうが、ずっと安全です。順番は、次の4つ。

  1. 事実確認——書かれた内容を、まず受け止める
  2. 謝意——不快な思いをさせたことへのお詫び(事実の全面謝罪ではなく、お気持ちへの配慮)
  3. 改善——どう受け止め、何を見直すのかを一言
  4. オフラインへ——「よろしければ直接お話を」と、続きは施設の連絡先に誘導する

たとえば、こんな一文です。「このたびはご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません。いただいたご意見は職員間で共有し、改善に努めてまいります。差し支えなければ、直接お話を伺えればと思いますので、お手数ですが施設までご連絡いただけますでしょうか」。

ここで忘れたくないのは、返信の宛先は「書いた本人だけではない」ということ。これから検討するご家族も、そのやりとりを読んでいます。丁寧な返信は、それ自体が施設の姿勢を映す。ピンチは、見せ方次第で信頼に変わります。

集まった口コミをHP・採用に活かす

せっかく集まった声を、Googleの中に置いておくだけでは、少しもったいない。HPや採用にも活かせます。

  • HPに「利用者の声」として、許可を得たうえで引用する(転載のルールは事前に確認を)
  • 採用ページに——働く現場の雰囲気が伝わる声は、求職者の心にも届く
  • 職員へのフィードバックに。良い声は、そのまま現場の励みになります

口コミという第三者の言葉は、施設が自分で語るどんな言葉より説得力があります。家族もケアマネも、同じ目線でそこを見ている。ケアマネはHPのどこを見ているかという観点でも、利用者や働き手のリアルな声は効きます。

そもそも、ご家族は施設を第一印象で選んでいます。検索して最初に触れる星と声が、その第一印象そのもの。だからこそ、集めた声を見える場所に置く意味があります。

ただ——正直にお伝えします。口コミを集めれば必ず入居や応募が増える、とは言えません。声はあくまで補助。根っこにあるのは、日々の現場の質です。良い介護をしているから、良い声が集まる。この順番を、逆にしない。私がいつも自分に言い聞かせていることです。

まとめ

Google口コミとの向き合い方を、あらためて整理します。

  • ご家族は星の数と件数を見ている。件数の積み重ねが安心になる
  • サクラ・自作自演はしない。正攻法が、結局は一番強い
  • 見学後や退居時のひと声、QR・LINEで、自然に集める設計をつくる
  • 悪い口コミは消せない前提で。感情的に反論しない
  • 返信は型で——事実確認→謝意→改善→オフラインへ
  • 集まった声は、HPや採用にも活かす

口コミは、施設の鏡だと思います。良いことも、耳の痛いことも映る。でも、鏡から目をそらしていては、何も変わりません。増やして、返して、活かす。一つずつ、誠実に。

地味な作業です。派手さもありません。それでも、遠回りのようでいて、これが一番の近道だと私は思っています。不安を煽るつもりはありません。今ある1件と、これから積む1件を、どうか大切にしていきましょう。

この記事を書いた人
中山 孔太(ナックル)
合同会社QOL 代表 / 介護福祉士・ケアマネジャー / 介護現場22年
介護現場22年の経験を活かし、介護事業者向けのHP制作とLINE構築を行っています。「介護事業のWEB集客・採用の専門家」として、現場のリアルを踏まえたWEB戦略をお届けします。
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中山 孔太(ナックル)